零細管理会社伝説劇場 第4幕 現場報告、しかし何もしていない

◆登場人物紹介(おさらい)

•伝説の漢(67歳)

零細管理会社の重鎮。趣味はドヤ顔と言い訳と記憶を無くすこと。

現場では“現場視察”と称して自由奔放に動き回る昭和遺産。

•私(語り手)

伝説の隣にいるだけで重宝される男。

今日も伝説劇場を目撃する立場にある。

 

◆本編

昨日の漏水事故の件で伝説の漢が現場到着。

社内チャットには短文で報告が届く。

 

「ベランダ排水口オーバーフロー。

避難ハッチ部分防水。

原因だと思います。

雨が止んだのでもう大丈夫です。

帰ります。

以上。」

 

……帰ります?以上?この後の業者手配も無し?また雨が降ったら?

結局、現場で何をしてきたのか謎のまま、

僅か5分ほどで舞台は幕を閉じた。

これが零細管理会社伝説短編劇場の真骨頂である。

 

観客は今日も、笑いながら心の片隅でツッコミを入れる──

「いや、あんた何しに行ったんだーー!!!」


◆観客の皆さまへ

ここに断言しよう。

伝説の漢が現場に求めているのは、安全でも合理性でも、ましてや業者手配でもない。

ただ一つ――

「俺は朝早くから現場に行ったぞ、帰ってきたぞ」

──という自己アピールである。

(つづく)